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静メカスタッフコラム 第4回
2016/11/07
[ カテゴリー:リマスター日記 ]
こんにちは静メカです。
米たにヨシトモ監督から、膨大な資料をお借りして制作している豪華特典本「GGGアウターファイル」も付属する『勇者王ガオガイガーFINAL & GGG』Blu-ray BOX』!このBOXのすごい点を、サンライズ木内さんとフライングドッグ吉田さんと共に解説しております!
前回は『FINAL』の映像素材の種類と、HDリマスターの手法についてご説明しました。今回のコラムはこの内容も少し踏まえつつ、では残る「FINAL GRAND GLORIOUS GATHERING(以下文中『GGG』)」のHDリマスターはどうするの?というお話です。
まず『GGG』とは、2000年~2003年制作のOVA『FINAL』全8話に、TVシリーズの映像と『ガオガイガー』と世界観を共有する作品『ベターマン』の映像を追加、再編集し、全12話として2005年に地上波で放映されました。話の大筋は同じですが、『GGG』では、世界観やキャラの心情などがより深く描写されています。過去に『FINAL』と『GGG』とで別々にDVDソフト化されていましたが、今回のBlu-ray BOXでは両方収録されます。
そこで『GGG』のHDリマスター化を考えた時、既にあるDVDのマスターデータをそのままアップコンを行えば行えば、そこそこ画質の良いBlu-ray BOXは作れます。前回チャート図の(1)ですね。でも吉田さんと木内さんは、禁断の手法に気付いてしまったのです。
せっかくネガスキャンから作り起こした『FINAL』と
TVシリーズの映像があるのだから、それを素材に
「再現編集」すれば、最高クオリティの『GGG』に
なるのではないかと!
この「再現編集」というのが、『GGG』HDリマスターのキーワードです。実は『GGG』は『FINAL』の再編集版なだけでなく、エフェクトを付け加えるなと、映像に色々な加工処理が全編に施されています。今回、TVシリーズと『FINAL』のHDリマスター映像を使用して、皆さんがDVDで観ている『GGG』の画面と全く同じように一から再現する。これが「再現編集」です。具体的には下の画像をご覧下さい。
と、書くと簡単そうですが、要は「2005年に米たに監督が施した処理を、完成しているDVDのマスターデータから解析して一からやり直す」作業です。具体的な作業記録なんて残っていませんし、放映から10年以上経っているので、使っている機材も違います。単純に『ガオガイガー』だけでも映像素材が多岐に渡ったのに、それに加えて『ベターマン』です。皆さんここまで読んで、「え?そんな事をしていたら作業が全然終わらなくない?」という気持ちになると思います。私もなりました。
それでも編集スタジオ キュー・テックの勇者・鈴木さんの力もお借りし、最終的には見事ひとつの映像としてつながりました!
また、時期的に『GGG』は『FINAL』の後に制作されたので、音や映像を「後から直した」箇所も存在します。今回のBlu-ray BOXではそういったところも『FINAL』にフィードバックしてあるので、この辺りも画質だけでなく「最高のクオリティで、最高に手間のかかる手法」がとられています。
……という作業が、本編映像に加えて、毎回クレジットが変わるOPとED、『プロジェクトZ』、『勇者王誕生!~完璧絶叫ヴァージョン~』PVなどの特典映像などにも、可能な限り施されています。
こうして映像が完成し、Blu-ray BOX制作も佳境に入ってきました!
次は豪華解説本「GGGアウターファイル」についてご紹介していきたいと思います。
(静メカ)

やり過ぎデジパックお披露目!
2016/11/05
遂にデジパックのイラストが公開されました!
デジパックの見本も届いたのですよ。
見て下さいこの豪華な内容!
デジパックの外側は中谷誠一さん!勇者なら間違いなく夢みる版権!やったぞー!!
無邪気に発注してしまいましたが、よくよく考えるととんでもないことです。
TV BOXの時から感覚麻痺してたんですね。
ちょっとやり過ぎです。
反省してます。
でもGGG特別隊員の皆さんはきっと喜んでくれる筈。
内側は木村貴宏さんです!こちらも迫力ある一枚!ディスクが収納されてしまうのに…手は一切抜かん!
ちなみにビクターオンラインショップで購入した方にはもれなくデジパック内側イラストのクリアポスターがもらえます!
TV BOXで揃えた方はこちらも是非一緒に揃えたいですね。
そして特典のGGGアウターファイル。
TV BOXの時は『記録大全』でしたが今回は『GRAND GLORIOUS GATHERING』と『プロジェクトZ』も収録する為、ベターマンについても少しだけ触れています。
よってGGGアウターファイルという名前となりました。
もちろんメインはガオガイガーなのでほんの少しではあるのですが…。
ベターマンをご存じない方は興味を持って頂けたら嬉しいです。
そんなGGGアウターファイル。
気がついたら約150ページになってました。
直前になって16ページほど増える事になったのですが、増量したのはカラーページ!
これには自分もビックリ。
やるなメーカー担当…。
内容についてはまた次回!
(sunriserights)

CM6連発配信開始!
2016/10/26
あのTV版BD-BOXの20連発に続いてFINALでも同様にバリエーションを作ってしまいました。
もう見ていただけましたでしょうか。
こちらは凱兄ちゃんと護くんの新規収録の内容となっています。
6週にかけて毎週1本ずつ配信していく予定ですのでお楽しみに。
そう・・・。
新規収録なんです。
これはオーディオコメンタリーの収録と同日に収録しました。
米たに監督の前で挑む収録。
こんなプレッシャーってありますか?
メチャクチャ緊張しましたよ!
その甲斐もあってか見応えのある内容になったと思います。
ちなみにCMの編集というのも時間がかかるものでした、
今回は13時間以上かかっています。
事前にDVDの映像から仮編集しているのに・・・。
このタイミングになると本編のリマスターが終わっているので使える映像盛りだくさんで嬉しい悲鳴です!
最後に出てきますガオファイガーは何と描き下ろし!
こちらは山根まさひろさんですよ。
(sunriserights)

静メカスタッフコラム 第3回
2016/10/13
[ カテゴリー:リマスター日記 ]
こんにちは静メカです。
毎回「ここがすごいぞ『勇者王ガオガイガーFINAL & GGG』Blu-ray BOX」を、サンライズ木内さんとフライングドッグ吉田さんと共に解説しております!
前回では「勇者王ガオガイガーFINALを構成する映像素材の種類」についてご説明しました。「16mmフィルム」「35mmフィルム」「デジタル映像」の3種類がある中、今回はそれらをどう使ってHDリマスター化するか、そして『ガオガイガー』がその中でもどれだけ特殊な手法をとられているか、をご紹介します。
ここでTVシリーズのBlu-ray BOXを見ると、オビに「ネガスキャン」と書いてありますね。
この「ネガ」とは、黒いセロハン状の「ネガフィルム」のことで(若い人には解るのだろうか……)セル画を撮影した映像の原版です。放送やビデオ商品化には、通常はネガをコピーした「マスターポジフィルム」を使用します。なぜなら、万が一ネガを破損したら、その作品の完全な状態は永遠に失われてしまうから。そのためサンライズ作品のネガは厳重に保管されており、基本的にネガスキャンは行わない方針だそうです。ファンにとっては、作品の損失なんて想像するだけでもおっかない話ですね。
ちなみにフィルムにも種類があって、木内さんは発色の良さを追求するためマスターポジフィルムに拘っていると言っていました。
そしてプリントや編集を繰り返して、ネガから離れるほど映像の画質は劣化していきます。そんな事を踏まえて下の図をご覧下さい。
TVシリーズに続き、今回の『勇者王ガオガイガーFINAL & GGG』でも行われている「ネガスキャン」とは、上の図の(4)にあたります。ネガから直接スキャンした、これ以上は存在しない超・最高画質なのです!
これはネガを持ち出すリスクを冒してでも、最高のHDリマスターをしたい!ずっとBlu-ray化を待っていた勇者たちの声に応えたい!という気持ちで実現した、異例の事態です。ただのキングジェイダー好きだった私が、ここでコラムを書けるようになったのと同じように、勇気があれば夢は叶うのです。『ガオガイガー』って全体的にそういう空気感が漂っている作品です。
木内さん曰く「いや~たまたま運良く、ネガスキャンを使える条件が整っただけなんですけどね。社内調整が上手くいったといいますか」とのこと。
ネガが存在しない後半のデジタル部分も、マスターデータを劣化させない(ただし、時間とコストのかかる)映像業界でも最高レベルのアップコンバートを施しているので、そこはご安心ください。『FINAL』第6話で登場したジェネシックガイガー(下画像)も、DVD版より線がシャープに、色味も鮮やかになっています。クリックで画像が拡大されるので、ぜひ確認してみて下さい。
このように、各種映像素材を最高画質でデータ化し、粒状感(画面のツルツル、ザラザラした質感)や色味を整えることで、一本の「勇者王ガオガイガーFINAL HDリマスター版」が出来あがるのです。
ただ、最初のチャートをよーく見ると解りますが、ネガスキャンをするという事は、DVD版で済んでいた作業等がゼロに巻き戻ります。なのでゴミ取りや色調整作業を改めてやり直したり、この作品ではTVシリーズのカットを加工して使用している回想シーンを解析して、TV版Blu-ray時に制作したHDリマスター映像から再現したり、と手間や資料チェックも最高にかかるやり方なのです……。
2回にわたり解説しましたが、『勇者王ガオガイガーFINAL & GGG』のHDリマスターは「ネガ原版から高精細(high definition)でデータ化し、映像をもう1回最初から作り直し(Remaster)して、これ以上ない高画質を実現している」という、ハイエンドを極めた手法で制作されています!木内さんの「GクリスタルからGストーンを作るようなもの」の言葉で、勇者の皆様ならそのクオリティが解って頂けるはずです。
そしてもうひとつ、今回のBlu-ray BOX『勇者王ガオガイガーFINAL & GGG』のタイトル通り、2005年に再編集され、全12話に新生した「GRAND GLORIOUS GATHERING」(以下「GGG」)も同時収録、過去のDVDに収録された映像特典も可能な限り再収録されます。
全8話の『FINAL』本編でこれだけの手間をかけていたのに、TVシリーズと『ベターマン』の映像が加わった「GGG」全12話、さらに映像特典のリマスター作業……!次回は「この辺もとんでもない事になっていた」についてご紹介します。
(静メカ)